◆ 自己破産 免責不許可事由の検討
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破産財団に属する財産を債権者の不利益に処分したとき
破産財団に属する財産を債権者の不利益に処分する行為は免責不許可事由に該当するが、消費者破産において問題となるのはいわゆる換金屋を利用してしまったケースであろう。
換金屋とは、貸金業者として広告により顧客を誘引するが、自ら融資することはなく、債務者にクレジットで指定の商品を購入させ、その商品を買い取って債務者の金融を図る悪徳業者である。
クレジットで購入した商品は、割賦金の支払が終わるまでは所有権がクレジット会社に留保されているためクレジット会社が商品に対する別除権の地位にあると言えるものの、商品そのものは本来破産財団に属すべき財産である。
その商品を換金屋に売り渡す行為は、形式的には「債権者の不利益に処分」する行為ということができるため、このような事例の場合には一部配当させた上で裁量的に免責を許可している取扱いが多い。
しかし、厳密に検討すれば、「債権者の不利益に処分すること」の「債権者」とは総債権者を指すのであるから、換金屋を利用した行為は、利用されたクレジット会社の不利益となるのは間違いないものの、総債権者のために不利益になるものではなく、免責不許可事由に該当しないとの考え方もある(静岡地浜松支判平成7・7・11消費者法ニュース25号31P)。
上記の決定はこれに関連し、悪質なのは換金屋の暗躍であり、クレジット会社としては換金屋に対する損害賠償請求などの手段で損害の回復を求めるのが可能であり、換金屋の指示に従って結果的に換金行為をした債務者の事情などを検討すると、債務者が意図的に債権者を害する行為をしたという不誠実な行為があったとはいえないとしており、悪徳金融の現実に一歩踏み込んだ判断をしている。
なお、このような換金行為は、一面では当面の支払不当状態を回避し、破産宣告を遅延させる目的をもってなされたと捉える見方もあり、この見解では換金行為が破産法375条1項2号に該当すると判示している(東京地判平成6・1・17判時1484号93P)。このように、換金屋を利用した事例は多面的な問題を含んでいる。
また、多重債務者が換金屋の被害を受けるのは破産申立時期に近いことが多く、破産申立後にクレジット会社からの物品返還請求に応ずることができず、換金屋利用の事実がクレジット会社に明らかとなるが、このような場合、実務的には、破産申立の段階で換金屋を知った経緯、換金屋の態度や指示の内容、債務者の故意、債務者の事由意思の拘束の程度などを記載し、一部配当等の指示など裁判所の判断を仰ぐことになろう。 |